ゆいブログ

ぼうこうろう

Image456.jpg
先日、ある猫ちゃんの患者様が突然、下半身麻痺になったとの事で来院されました
猫ちゃんは完全に後ろ足が動かず、しかも自力で排尿も出来ない状態でした
各種検査から、お腹の奥(背骨に近い所)に癌が見つかり
恐らく、その影響で麻痺が発症したと思われました
抗癌剤治療によって、癌は一旦、完全に消えたのですが
結局、下半身麻痺は治りませんでした
後ろ足の麻痺は生活にそれ程影響はしないのですが(実際、その猫ちゃんは前足だけでガンガン動き回っていたそうです)問題は排尿でした
下半身麻痺による排尿困難は、以下の二つパターンがあります
①お腹の外から膀胱を圧迫すると、容易に排尿する
②圧迫しても、尿道の筋肉が締まっていて排尿出来ない
今回は②のパターンで
飼い主様に毎日来院して貰い、カテーテルを尿道から入れて尿を出していました
しかし、この方法だと、毎日来院して貰わないといけないのは勿論の事
いずれは尿道が傷つき、炎症を起こしてカテーテルが入らなくなる恐れがありました
そこで飼い主様と相談して
膀胱に、胃ろうカテーテル(ボタン式)を設置する事を提案させて頂きました
胃ろうカテーテルとは
食事が取れなくなってしまった患者様の胃に、お腹の外から穴を空けて設置する管の事で
そこから直接流動食を流し込む事が可能になります
それを膀胱に応用して設置し、逆にそこから直接尿を出させるといった方法です
この方法は、以前受けた泌尿器疾患のセミナーの時に教わったやり方で
とある大学病院で行われている治療法です
当院で行うのは初めてで、しかも様々なリスクがあります
ですが、上手くいけば御家庭で簡単に尿を出させる事が出来ます
飼い主様は、この提案を快く承諾して頂き
早速、この治療を行いました
結果、カテーテルを無事に設置する事が出来て、現在は御家庭で楽に排尿させる事が可能になりました
従来、この方法で使用していたカテーテルは長い管で(お腹から長い管が出ているので)、それが生活していく上で結構邪魔になっていたんですが
今回使用したボタン式の物は、簡単に開け閉めが出来る蓋が、お腹から出ているだけなのであまり邪魔になりません
やはり、治療で大事なのは飼い主様と患者様、両方に負担が少ない事だと改めて思いました(._.)