ゆいブログ

うれしかなし④

続、悲しかった事、その②です。

 

今回も長期間

治療を続けてくれたワンちゃんについてです。

 

 

初めて来院されたのは、今でも忘れません。

約2年前の事です。

 

 

めちゃめちゃ人懐っこい

とても可愛らしいパピヨンちゃんで

 

お腹の腫れを指摘されて

セカンドオピニオンでいらっしゃいました。

 

 

 

ワンちゃん自身はすこぶる元気だったので

様子見で、と言われていたらしいのですが

 

 

高齢である事と

お腹の内部からの腫れだったので

 

直感で、腫瘍系の病気を疑い

直ぐに検査をさせて頂きました。

 

 

各種検査から

巨大な卵巣癌がある事は判明したのですが

肺にも大きな転移像が認められていました。

 

 

 

この時点で

癌の治療において

基本的に、手術は適応外になります。

 

転移があると言う事は

既に、全身に癌細胞が浸潤しているので

癌だけ切除しても

余命にはあまり影響しないからです。

 

(癌の為に大きな苦しみや痛みがある場合は

適応になる事もあります)

 

 

転移があると

そこからの寿命は早く

無治療だと、もって数ヶ月

状況によっては1ヶ月もたないケースもあります。

 

 

 

そこで

治療方針を決定する為に

飼い主様御家族とじっくり

話し合いを重ねました。

 

 

色々な選択肢がある中で

 

飼い主様の御希望は

 

とにかくワンちゃんが苦しまずに

出来るだけ一緒に居れる時間を長くしたい

との事でした。

 

そこで

考え得る最大限の治療

 

①分子標的薬(効能外)

②インターフェロン

③抗炎症剤

 

を全て同時に行う事を提案させて頂き

治療開始する事になりました。

(ステロイドは一切使用しませんでした)

 

 

 

特に分子標的薬は

前回の甲状腺癌とは異なり

効果が未知数だったんですが

 

これがズバッと効いてくれて

 

肺の転移の進行が

そこからピタッと止まり

幸い副作用も殆ど起きず

 

とても元気に2年近く

治療を続ける事が出来ました。

 

 

 

途中、元々あった乳癌が壊死脱落して

緊急に手術をする事もありましたが

 

それも何とか乗り越えてくれて

亡くなる直前まで

ずっと元気に過ごしてくれました。

 

 

 

 

とても印象的だったのが

 

ワンちゃんが

診察に来る度に毎回

決して楽しくないだろう診察台の上で

 

ずっと嬉しそうに尻尾を振り続けてくれて

自分の方へ飛び付いて来てくれた事でした。

 

 

 

それが亡くなる直前

急に下痢が酷くなって元気が無い

との事で来院されたんですが

 

2年間の診察で初めて

尻尾を振らずに飛び付いても

来てくれなかったんです。

 

 

フッと嫌な予感がしたんですが

それまでめちゃめちゃ元気だったんで

また直ぐに復活してくれるだろうと

思っていました。

 

…それが、まさかのワンちゃんとの

最期の診察になってしまいました。

 

 

いつもと様子が違ったのは

きっと何か伝えたかったんだと思います。

 

2年間、ずっとずっと元気で居たんですが

いきなりのお別れになってしまいました。

 

 

 

飼い主様がその後

わざわざ御挨拶に来て下さって

御家族のお子様にも御手紙を頂きました。

 

そこに書いてあった

純粋な感謝の気持ちを読んだ時は

嬉しくてまたまた涙が出そうになりました。

 

いつも思うのですが

ここまでワンちゃんの為に治療させて頂いて

自分の方が感謝してもしきれないです(ノ_<。)