ゆいブログ
はいすいしゅ
今年に入ってから、やたらと多い病気
それが、小型犬の心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)による「肺水腫」です。
定期的に月に数件、入院治療をしています。
これだけ多いのは、開院以来治療している患者様が10歳を超えてきて
心臓病が徐々に悪化してきているケースが増えているからです。
圧倒的にチワワちゃんが多いですが
他にポメラニアン、マルチーズ、ヨーキーちゃん等も増えています。
稀に中型犬、大型犬でも、この心臓病はあるのですが
何故か肺水腫まで悪化する事は、ほぼ無いです。
この10年間で、数え切れない位の
僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんの治療をしてきましたが
最大の目標は、「いかに肺水腫にならない様にするか」です。
心臓病は、どんな治療をしていても必ず、加齢性で進行性です。
(唯一の例外は、外科手術にて完治させる事です。)
そして、進行すると肺に水分が溜まって呼吸困難になってしまう
致死的状況の「肺水腫」へと移行してしまいます。
なので、定期的に検査をして、薬を調整して
綿密に飼い主様とコミュニケーションを取る事がむちゃくちゃ大事なんです。
治療で特に大事なことが、先手必勝です。
レントゲン、エコー、血圧、心電図、血液検査等々を駆使して
悪化する前、もしくは悪化の前兆がある時に薬を調整する事が肝心です。
全ての病気に通じる事ですが、特に心臓病は命に直結するので
常に後手後手になってしまわない様に先手を打っていく様にしています。
病院で検査する事以外に、飼い主様にも協力してもらう大事な事があります。
それが、呼吸数(1分間)をカウントしてもらう事です。
心臓の状態が悪化すると、呼吸数が増加するので
日頃から呼吸数をカウントしてもらう事によって
より早く異常に気付いてもらい易くなります。
それでも、様々な対策をしていても、肺水腫になる時はなってしまいます。
肺水腫は、一度目であれば、当院ではかなり高い確率で治す事が出来ていますが
2度目以降になると大幅に治せる確率が下がります。
つい先日、奇跡的に3度目の肺水腫から治せたワンちゃんがいましたが
3回も回復出来るのは、ホントに稀な事です。
心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)のチワワちゃんの飼い主様に
必ず、重々説明する事があります。
それは、チワワちゃんが特に心臓病が進行し易い犬種だと言う事です。
安定していると思っていたら、急に悪化する事もしばしばあります。
当院の患者様で、散歩中に興奮して吠え過ぎただけで、急激に肺水腫になって
来院時は心肺停止状態になっていて助けられなかった事もあります。
チワワちゃんは、僧帽弁を動かしている腱索という細い筋肉が
断裂し易いので、こういった事が起こり得るのです。
セカンドオピニオンで僧帽弁閉鎖不全症の患者様を診察する事もありますが
検査をほとんどせず(聴診のみ)、薬だけ貰っている患者様が多いです。
(それが不安でセカンドオピニオンを希望されているケースが殆どです)
当院はしっかり綿密に検査をして
特に、飼い主様とのコミュニケーションを重視しています。
肺水腫に1度でもなってしまうと、余命がかなり短くなってしまいます。
例外的に、非常に稀なケースですが
肺水腫になったチワワちゃんでも、内科治療で心肥大が治まる事によって
血液の逆流がとても少なくなり、数年も寿命が延びる事があります。
当院でも、肺水腫になってから奇跡的に
5年以上も長生きしているチワワちゃんもいらっしゃいます。
なので、肺水腫になったとしても、決して諦める事無く
根気よく治療を継続する事によって
元気に飼い主様と一緒に居られる時間を少しでも長く出来る様に
全力でサポートする事を、常に心掛けています。
僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんで、悩ましいのが
当院の休診時間に急変した場合です。
夜間では、「名古屋夜間動物救急センター」と提携しているので
そちらで対応してもらっています。
先日も、当院の患者様が夜間に肺水腫になり
名古屋夜間に対応してもらい、その連絡を明け方に直接もらい
早朝に当院で救急対応して救命出来たワンちゃんがいらっしゃいました。
日中の場合は、なるべく対応する様心掛けていますが
もしもの場合は、当院と連携出来る動物病院をお知らせしています。
と、長くなってしまいましたが
僧帽弁閉鎖不全症の闘いはとても大変なんです。
それでも、その分、とてもやりがいのある治療でもあります(; ・`д・´)