ゆいブログ

うれしかなし③

続、嬉しかった事その②です。

先日、とある猫ちゃんの患者様が

急遽来院されました。

1週間位前から調子が悪く

ここ数日はぐったりしているとの事でした。

この患者様は、近所で

皆に可愛がられている人気者で

当院でも長期間ペットホテルした事があり

とても人懐っこい性格の良い猫ちゃんでしたた。

そんな猫ちゃんが

かつての見る影も無い位にげっそりして

来院した際には衰弱しきって

横たわったままマトモに動けない状態でした。

ババッと身体検査したら

顎の下から首の根元にまで広範囲に

皮膚がパンパンに腫れ上がり

大部分は黒色に壊死していました。

完全室内飼育では無かったので

恐らく、外出先で野良猫に噛まれて

いわゆる巨大なアブセス(膿瘍)が

出来てしまったんです。

あまりに状態が悪かったので

即、入院治療に入りました。

点滴をして、抗生剤の投与をして

患部を切開し、大量の膿を排出させた所

首の皮膚が殆ど腐り落ちて

内部の筋肉もかなり壊死していて

更には大血管、神経、リンパ節も露出する程

傷口は巨大になっていました。

飼い主様に、この危機的状況を

「どう考えてもこれだけ大きな外傷部を

自然治癒させるのは困難なので

少しでも状態が良くなれば

手術で縫い合わせないといけないです。

ただ、状況は相当厳しいです。」

と正直に説明させて頂きました。

飼い主様には

費用的な問題等がありましたが

しっかりと話し合いをして

ある程度の条件でとことん治させて貰う事

にさせて頂きました。

自分は勤務医時代に

創傷治癒にとても興味があり

当時、その分野の第一人者の獣医師の元へ

研修に行ったり

医学の分野を少し勉強した事がありました。

なので、その知識をフル稼働して

全力で治療にあたりました。

大きな創傷の治療で第一に大事なのは

壊死組織をとことん取り除く事です。

先ずは、血管や神経に気を付けて

壊死した筋肉と皮膚を出来るだけ切除しました。

そして、次に大事な事が

適度に水分があるしっとりとした状態にする事です。

(いわゆる湿潤療法)

最初は大量の浸出液が出るので

過湿潤にならない様に液体を吸収する

生理帯を装着しました。

(これが意外に、水分吸収に便利で安価)

そして

傷口の管理と同時に最重要なのが

栄養管理です。

栄養状態が良くないと傷口も治りません。

(数日間食べてないので肝臓の機能も低下していました)

勿論、自力では食べれないので

強制給餌を、何とか無理くり頻回に行い

食べさせ続けました。

2~3日で壊死組織がほぼ脱落し

浸出液が減少してきたので

今度は水分を与えて、肉芽を盛り上がらせる

特殊なジェルを使用しました。

そして乾燥しない様にサランラップを

巻きました。

(これまた手軽で、便利で安価)

途中、何と!

胸にも巨大なアブセスが出現して

めげそうになりましたが

そこも切開、洗浄して

ドレーン(膿を出す管)を装着して

同時に管理しました。

(こういった時に消毒は

正常な組織も痛めてしまうので

一切行いません)

そんなこんなで

ある程度、首の傷口が良い状態になってきたので

手術に踏み切りました。

手早く、なるべく短時間の全身麻酔で

何とか無事に終える事ができたのですが

術後はまた、かなりグッタリしてしまいました。

それでも諦めずに、回復を信じて

ひたすら強制給餌を続けました。

そして数日経過したら

徐々に猫ちゃんも起き上がれる様になり

やや元気になってきました。

ここまで来たら要約一安心です。

長期の入院だったので

ストレスも考慮して一時退院にしたんですが

帰宅してから

食欲も出て来て劇的に元気になり

飼い主様と大喜びしました。

過去にも色々な外傷治療を経験して来ました。

特に郡上八幡での勤務医時代は

イノシシに突かれて

お腹の皮膚がバッサリ裂けたワンちゃん

草刈りのカマで

鼻が真っ二つに裂けたワンちゃん

等々。

(これらも手術で治しました)

稲沢で流石にこんなケースはありませんが

外出する猫ちゃんでは時折

こういった激しい外傷を負って来院される事があります。

今回の飼い主様にも重々お話ししましたが

やっぱり猫ちゃんの室内飼いを推奨します。

完全にとは言いませんが

目の届かない所へ行かせない様に

リードを付けてベランダや庭先だけにする等

やれる事は必ずある筈です。

大事なのは飼い主様の意識だと思います。

自分は病気になってから治療するよりも

いかに病気にさせないか

常にそこに重きを置いて診療しています。

それには絶対的に飼い主様の協力が

必要なんです(ヾ(´・ω・`)